わけあってdカードをオンライン申し込みした。ドコモに対する電気通信契約はないけど。
フォームの UX がいまいち(住所検索がなぜか郵便番号 or 電話番号による検索だったり、そのくせ自宅電話番号はもう一回入力させたり、勤務先がいまどき 10 文字以内だったり、などなど)だった。 こういうところはクレセゾンとかの方が一枚以上上手かなと思う。
Web 口振受付サービス
最後に驚いたのが、d払いとドコモ口座方面で燃え上がった Web 口振受付サービスを利用していたこと。 冷静に考えてカード利用代金の引き落としだけに利用されるのだからまあよいのだろうが、相変わらず地銀ネットワークサービスが噛んでるところは
- 銀行
- 支店
- 口座番号
- 登録の生年月日
- キャッシュカードの 暗証番号
がそろっていれば認証が通ってしまうところもあるようだ。何を隠そう自分が利用している銀行がそうだった(伏せるが)。
インターネットでお支払い口座の設定が可能な金融機関 を見ると、三井住友、みずほ、三菱 UFJ 、りそな、埼玉りそな、関西みらい、北洋、イオン、ゆうちょ以外の各行は地銀ネットワークサービスを利用しているようだ。
本人確認は?
まあそれも目をつぶるとしても、それを通り越したら本人確認書類の提示を要求されることなく申し込みが完了し、審査に進んでしまった。 この後、本人確認書類の返送が依頼された場合は写しを返送すべしとのことだが、このまま審査完了してしまう未来もあるようである。
犯罪収益移転防止法の求める本人確認
犯罪収益移転防止法(以下単に法と呼ぶ)では、特定取引として取引時確認をすべき取引を挙げている(法施行令第 7 条)。 これにクレジットカード契約の締結が含まれている。
取引時確認では、個人を相手とする場合次の確認を行うことが求められている。
- 本人特定事項
- 個人についての本人特定事項は「氏名」「住居」「生年月日」の 3 点である
- 取引の目的
- 生計費決済とか事業費決済とか聞かれるのはこれが理由である
- 職業
この本人特定事項の確認には「書類」を「定められた方法で確認すること」が求められている。
利用できる公的証明書等(いわゆる本人確認書類)は 犯罪収益移転防止法の概要 (以下単に概要と呼ぶ)には利用できる書類が列挙されているが、実際これらが何を根拠に列挙されているかはよくわからない。
概要に確認方法も例示されており、対面取引・非対面取引それぞれ列挙されている。 今回のような非対面取引の場合では、「本人確認用画像」すなわち顧客の容貌(早い話がセルフィー)および写真付き本人確認書類の画像を送信することが中心に据えられている。 Revolut や Kyash はこの方法を取っていたような気がする。
このほかに本人確認書類の画像の送信させ、あるいは住民票の写し(原本)を送付させ、それらに記された住所宛に書留郵便を転送不要扱いで送る方法もある。
なんにしても、本人確認書類の提示を受けなければならないと書かれているように見える。 もっとも、概要に例示されているだけで法や法施行令、法施行規則に記されているかはわからない。 「法の趣旨を踏まえると、こういう方法があるで」って話かもしれない。
もしかすると
もしドコモ口座の件と同様に、Web口振受付サービスで可とされただけで法の求める取引時確認を済ませたと了解しているのであれば、「dカードを本人のあずかり知らないところで申し込まれてしまう」事案が起こりうる。
ドコモからどういう連絡が来るか、注目して待つ。
補遺
職場の知り合いから興味深い資料が送られてきたので備忘として張っておく。
- オンラインサービスにおける身元確認手法の整理に関する検討報告書 経済産業省、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構、 PwC コンサルティング
- サービス事業者のための、本人確認手続き(KYC)に関する調査レポート OpenID ファウンデーション・ジャパン KYC ワーキンググループ
追記 (2020/11/09)
結局カードが届いてしまった。その顛末は こちら 。